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ヤマビルの変種が鳥類を攻撃

イオウジマトップ

1930年に書かれた、ヤマビルの変種についての論文がありました(フランス語)

Haemadipsa zeylanica の変種が鳥類を攻撃
Asajiro Oka, M.I.A Tokyo (Comm. Feb. 12, 1930)
 (注:大まかな翻訳です。わからない箇所はそのままにしてあります)

M.S.Takahashi氏の助けを借りて、北硫黄島について私は知ることができたのだが、その様子を述べるとSangsues(蛭) terrestres(陸の) 二十数匹がそこでは普通に生息しているようだ。この蛭は鳥類に襲いかかり、目をしゃぶり(sucent)、空にし(vident)、盲目(aveugle)にしてしまう。この事例を知り、直ぐに私はこれがl’Haemadipsa zeylanicaの変種であろうと気づいた。
l’Haemadipsa zeylanicaは東熱帯から日本までの範囲に広がっている種で、その変種はjaponicaとしている。以下にこの新しい変種についてその特徴を述べ、以下の名称を付与することを提案する。

Haemadipsa zeylanica var. ivosimae var. nov.
これは大変小さな体長のHirudineesで、アルコール中では大きなものでも長さが10.5mm、幅が3mmである。このように小さな体でも断面(coupe)を調査した結果完全な成虫と判明した。体の形状は同じ体長の通常のSangsues terrestresと全く同一である。色はピンクがかった、あるいは緑がかった均一の灰色(gris roussatre ou verdatre)で、縞模様(bandes)や斑点(taches)はなく、腹側が背中側より僅かに明るい色である。しかしながら、他の変種を観察した人にとっては、体の表面はセグメント化された乳頭(pilles segmentaires)ではなく、リング(anneaux)状の一種の出っ張り(somite)が形成されている。

体の体節構成(la constitution metamerique)はjaponica種のそれと全く一致しており、その内容は以前の研究レポートに記述したものであるが、頭部について一つだけ僅かな違いがある。その最後の部分には小さくてそこそこきれいな小さなリングが三番目と四番目の一対の目を持つリング間にある。この点で、我々の種はl'Haemadipsa sylvestrisの系統に近い。更に、体節(somite)を分ける溝(sillon)は、特に腹側(ventrale)において、リング状間(interannulaires)の溝に比較して印がはっきりしていることで識別できる。更に、各体節の3番目と4番目のリングを分けている溝は他の溝より深く、そこでは体節に含まれる5個のリングは二つのグループに分けられ、それは3個のリングの前部(anterieur)と2個のリングの後部(posterieur)である。このように、体節の端はMyxobdella属としての外見を明確に示している。

図 Haemadipsa zeylanica var. ivosimae

A 前部の端、背面、x15
B 後部の端、プロフィール、x15
目は5対あり、通常のようにアーク上に配置されている。あごは3個でとても小さく、各々が一列の小歯からなる。

性別の孔は通常と同じである;オスの毛穴は体節XIの4個目と5個目のリング間に開いている。メスのオリフィス5リングはもっと後ろに位置し、体節XIIの4番目と5番目リング間にある。私のサンプルのいくつかは、十分きれいな環帯(clitellum)を見せ、体節Xの4番目のリングから体節XIIIの3番目まで延びている。

腎臓の排泄孔(Les pores nephridiaux)は明らかではない。直腸の排泄孔(L’anus)は最終リングの反対側、背後の突起(la ventouse)の背骨に面した位置にある。これは円形で半分の体長の平均でも同じ大きさである。 北硫黄島で我々は変種を見つけたが、そこはおよそ北緯25度25分、東経141度15分の位置する大変小さな火山島である。ウジ(ver)は島民は“ゴムムシ”即ちやわらかいウジ(Ver caoutchouc)として知られている。

20年前に出版した私のSynopsis Hirudinees japonaisesで、私はSangsues terrestresには3種の変種があることを示した:Haemadipsa japonica, Haem. jap. var rjukjuana およびHaem. jap. var taiwanaである。その後さまざまな地域で数多くの種のサンプルを調査した現在、調査場所にはスマトラ、ボルネオそれにフィリッピンを含んでおり、私は別のやり方で名称を付与すべきであると考えるようになり:次のように変更すべきである。

Haemadipsa japonica en Haemadipsa zeylanica var. japonica
Haem. jap. var. rjukjuana en Haem, zeyl. var. rjukjuana
Haem. jap. var. taiwana en Haem. zeylanica (代表フォーム)

この3種類の変種は体の彩色(colocation)によってだけ区別され、それは一定している。他と異なる新しい変種はより基本的な特性で異なり、体長が小さいこと、セグメント化された乳頭が欠けていること、3番目と4番目の目の対の間に中間リングがあること、それに寄生の性質があること、である。従って、恐らく種のランクを上げることを試みると、また同時にHaemadipsa zeylanicaが広く分布していることを考慮に入れ、また我々のフォームに特有の生態の種であることを考慮すると、私は少なくとも当面の間は、この種の変種であると考えるのが良いと思われる。

1) Oka, A. Synopsis der japanischen Hirudineen , mit Diagnosen der neuen Species. Annot. Zool. Japon., Vol. 7. (1910).

追記:現在ではイオウジマヤマビルと呼ばれています(大野 1984)
石垣島、西表島などの琉球列島には サキシマヤマビルがいます

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ヤマビル研究会 (代表:谷 重和)
電話番号: 後日掲載いたします。 問合せはメールでお願いいたします。
yamabiru.mail@titan.ocn.ne.jp
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