自分でできる防除からキャンプ場、遊歩道、公園、神社、野外のイベント会場などでのヤマビル防除
自分でできる防除、地域でできる防除
ヤマビルは薬剤で防除、忌避(きひ)すればよいというものではありません。ヤマビルの生態を知り、総合的に防除する必要があります。
1.ヤマビルの化学的防除
2.ヤマビルの環境的防除
3.吸血動物対策(シカ、イノシシ)
4.森林の修復・保全(間伐、枝打ちなど)
5.教育・啓蒙(ヤマビルの生態を学ぶ講演会/イベント開催)
自治体の取り組み→こちら
1. ヤマビルの化学的防除:忌避剤(きひざい)の使用
ヤマビルを遠ざける忌避(きひ)剤の使用
登山、ハイキング、農作業など、ヤマビルの生息地に入る時に主に衣類に用いる。
[参考]
・ヤマビルファイター
・ヤマビルファイターエコ
・ヒルノック
・ダウンヒル
・ヒル下がりのジョニー
・20%食塩水、消石灰、木酢液など
吸血被害の多くは靴からの侵入です。
忌避剤を使用することで足元からの侵入を防ぎます。雨が降っている場合などは、何度かスプレーするようにしましょう。
生息数の多い場所に行く場合は、向かってくるヤマビルに噴射するヤマビルジェット(殺ヒル剤)を持っていくと安心です。
ヤマビルの生息数を減らす殺ヒル剤の使用
遊歩道、別荘地、公園、神社、キャンプ場、庭、野外イベント会場など、人が多く集まる場所に向いています。
[参考]
・ヤマビルキラー(液剤10倍希釈)
・ヤマビルエコキラー(粉剤)
・DDVP乳剤 (4000倍希釈)
・塩
・マリックスター
・ヤマビルジェット(携帯に便利・向かってくるヤマビルにスプレーする)
注意事項
広範囲の場所では許可が必要になることもあります。
ただ散布するのでは効果はありません。草刈をし、落葉や枯れ枝などを片付けてください。
散布時期、回数、天候などによって効果が変わります。また、ヤマビルのシーズンが終わっても、環境的防除をしてください。
2.ヤマビルの環境的防除
ヤマビルが生息しにくい環境をつくる
森林、キャンプ場、遊歩道、公園、庭などの環境整備。
草刈(通年)、落葉の片付け、林地の落葉かきで日当りをよくし、地面の乾燥化で生息しにく環境をつくる。獣道と交叉する道の管理も忘れずに。
日当りをよくし、冬期は越冬させない環境づくりをします。
枯葉・枯木や草の下に産卵したヤマビルの卵のうを死滅させる環境的防除
戸川林道で2014年の6月16日と9月29日に枯葉・枯木や草の下に産卵したヤマビルの卵のうを死滅させるために、除草バーナーを用いたヤマビル防除を行いました。
除草バーナーでは土壌の表面温度が800℃以上になりますので、卵のうだけでなく、仔ビルから中~大型のヤマビルまで死滅させることができます(卵のう表面は薬剤が浸透しにくく、薬剤による致死効果は余り期待できません)。
防除手順
(1) 草刈機による除草を行い
(2) ブロワー処理で落葉などを吹き飛ばして地表面を露出させる
(3) 灯油式バーナーで地面を焼く(卵のう、虫体を殺滅・致死させる。落葉は焼かない)
(4) 消火を兼ねてヤマビルキラー(液剤)を散布する。
以上の順序で実施したところ、新たにふ化してきた仔ビル数は大幅に減っているのが観察されました。
(注意点)除草バーナーを用いる場合には山火事への危険性があるので細心の注意が必要です。
季節ごとに捕獲されたヤマビルの大きさを調べました。ヤマビルのピークはいつ?
3.吸血動物対策(シカ、イノシシ)
シカやイノシシなどの侵入を防ぐ
シカやイノシシなどの野生動物の侵入を防がないと、ヤマビルの生息数を減らすことはできません。動物がヤマビルを持ち込んでしまいます。
・防護柵、電気柵の設置
(一部が壊れているとすぐに侵入します)
・個体数管理(有害鳥獣駆除、管理捕獲)
・耕作放棄地の管理
・農作物の管理
・吸血動物種の特定(センサーカメラによる動物調査、血液DNA検査)
ヤマビルの吸血被害の増加はシカやイノシシにも関係があります
4.森林の修復・保全
間伐(かんばつ)、枝打ちなどによる森林の保全。明るい森づくり。ヤマビルが越冬しにくい環境づくりにも役立ちます。
5.教育・啓蒙
講演会、セミナーの開催、
パンフレットの作成、配布案内板の設置
ヤマビルの生態を知りむやみに恐れない、生態を知ることで正しい防除ができます。
6.自治体の取組み
神奈川県秦野市 |
地域力で進めるヤマビル対策(平成24年度よりヤマビル被害防止対策事業を開始) 秦野市役所ホームページ |
神奈川県厚木市 | ヤマビル被害に注意 (農業政策課農林・鳥獣対策係) |
神奈川県清川村 | ヤマビル被害防除対策事業を実施 |
神奈川県 |
神奈川県ヤマビル対策共同研究事業(平成19~20年) 事業内容 (1)生息及び分布調査研究 (2)薬剤効果調査研究 (3)茶園等耕作地管理調査研究 (4)環境影響調査研究 |
秋田県 | 秋田県では南秋田郡の井川町や五城目などの山間部を中心としたヤマビル防除方法を確立するため、平成4年に『ヤマビル被害対策検討会』を設置し、積極的にヤマビル対策に取り組みはじめた。平成6年度から平成8年度までの3年間にわたって『ヤマビル被害防止対策事業』を実施し、秋田県下の各試験研究機関、大学、各市町村、民間企業などが一体となって、ヤマビル防除の基礎資料を得るために、ヤマビルの生態解明、生息範囲を拡大させる吸血動物の特定、忌避剤の研究および防除方法などの解明を進めてきた。 秋田県林政課では平成10年から3年間にわたって市町村に対して防除費の60%を補助する『第2次ヤマビル被害防止総合対策事業』をスタートさせ、実際のヤマビル防除に乗り出すことになった。 |
兵庫県 |
ヤマビル吸血被害対策事業(平成15年~17年) 事業内容 (1)ヤマビル生息数調査(平成15年~17年) (2)9町への薬剤散布補助(平成17年) (3)散布後の殺ヒル効果検証調査(平成17年) (4)ヤマビルからの細菌類分離調査(平成16年) (5)吸血動物種の同定調査(平成16年) (6)環境配慮型殺ヒル剤調査研究(平成15年) |
ヤマビル研究会 (代表:谷 重和)
電話番号: 後日掲載いたします。
問合せはメールでお願いいたします。
yamabiru.mail@titan.ocn.ne.jp
https://yamabiru.sakura.ne.jp/index.html